【ピエール中野】バンド上達塾Vol.6

【ピエール中野】バンド上達塾Vol.6

バンド上達塾とは…

BASS ON TOPがお送りするプロミュージシャンによるワークショップ。
毎回さまざまなプロミュージシャンをお迎えしての開催!あなたの目で!耳で!存分に体感して下さい!

【ピエール中野】バンド上達塾:2015.8.23@ベースオントップ中野サンプラザ店


去る8月23日、ベースオントップ中野サンプラザ店のイベントスペース211stで行われた、「バンド上達塾vol.6 ~スペシャル夏期講習編~」。
バンド上達塾とは、BASS ON TOPが送るプロミュージシャンによる音楽人を対象としたワークショップである。

今回の特別講師は、 圧倒的なテクニックと表現力で絶大な人気を誇るピエール中野氏(from凛として時雨)。「時代が生んだ幻のドラマー」とも称されるそのプレイスタイルを余すところなく披露する機会となった。

その当日の模様の一部を、残念ながら参加できなかった皆様にもお届けしたいと思う。

司会からバンド上達塾に関しての簡単な説明が終わり、いよいよ歓声湧き上がる中、颯爽と登場するピエール中野氏。
今日を楽しみにしていた受講者にとって待ち焦がれた瞬間でもあり、登場と同時に会場のボルテージも一気に上がっていく。

会場は、ピエール中野氏のドラムセットを囲む仕様となっており、ステージで眺める距離とは大きくことなり、間近でその存在を感じることができる距離になっている。

バンド上達塾本編は、デモ演奏からスタートした。

曲は凛として時雨の曲の中からチョイス。「Who What Who What」~「Telecastic fake show」と立て続けに演奏、参加者の前で圧倒的なドラミングが披露された。受講者は食い入るようにピエール中野氏のプレイを見ていた。

改めて司会から紹介もそこそこに、ご本人へとバトンタッチ。
「ピエール中野が中野に!」という鉄板ネタも披露し、受講者をリラックスさせつつも持ち前のトークスキルで会場を沸かせていく。本講義中も終始、隙あらば受講者を楽しませるための気配りを忘れない。

続いて「一問一答」のコーナーへ。

今回は300人を超える応募から選ばれた受講者から、事前にピエール中野氏に聞きたい内容の質問を集めていたわけだが、それを司会が読み上げる形で発表し、ピエール中野氏流に回答を頂くながれとなる。

受講生ひとりひとりの疑問や悩みに対し、時に真剣に時に冗談を織り交ぜつつ、丁寧な解説付きで受け答えをしていた姿勢が印象的であった。

当日の講義内容から、一部抜粋という形で内容を紹介していきたいと思う。

受講生からの質問:オープンリムショットのコツについて教えてください。
ピエール中野:「先ずは自分の出したい音をイメージすることが重要。そのときに、どこをどのように叩けばその音がなるのかをしっかり探るのが先決。
また、自分が叩いたフレーズを録音するのも大切ですね。改めて聞くと、安定してないなとか客観的に聞く事ができる。あとは安定させるための練習を繰り返していく。」


腕の使い方を指導するピエール中野氏。

自らを教則マニアと称するように、質問者のアドバイスに対して的確かつ非常にわかりやすい説明で応えていたのが印象的だった。

ライブツアーで披露されるマレットを使用した奏法についても、実演を交えてその魅力やピエール氏ならではの活用方法を受講生に伝授。スティックでは絶対に出来ない表現ができることから、ピエール中野氏も自身のプレイでよく使用しているということだ。

そのほか技術的な解説もあふれていたが、文章で表現するのは到底不可能であるので、それは当日参加した受講生だけの特別にしておこう。

その他にも、アーティストとしての心構えについて印象に残った回答をいくつか挙げさせて頂きたいと思う。

受講生の質問:難しいフィルインが叩けないのですが…(実演ふまえ)

ピエール中野:「なによりドラムフレーズでいちばん大事なことっていうのは、求められてる音楽性をどれだけ汲み取って反映させることができるか。ってことが勝負になってくるので、別に難しいことなんて、実は皆そんなに求めてないんですよ。
難しいモノ(プレイ)を求めたいというのは、割と個人の趣味的な要素が強いんであって。もちろん、それを求めるのも素晴らしいんだけど、実践の場では音楽的なアプローチができる人のほうが、今は重宝されていると思いますよ。」


受講生の質問:ドラマーでも曲は作れなければいけないのでしょうか?

ピエール中野:「僕ちなみに、まったく曲作れないです。けど、生活できてる。」

司会:「答えがでましたね(笑)」

ピエール中野:「同じ質問を小室さん(※小室哲哉氏)にしたことがあって。その時に『んー、書かなくていいよ。むしろ書かない方がいい』って言われたんですよ。」
「で、なんでだろ?って思ってたら、『スタジオミュージシャンでレコーディングに呼ばれるドラマーってだいたい曲かけないんだけど、そういう人の方が呼ばれる』って言ってました。」
「自分の楽器だけ極めてる人の方が、『職人っぽくて呼びたくなる』と。
もちろん曲を書くメリットもあるし、9mmのかみじょうちひろくんなんかは曲を書いた方が良いって言ってます。まぁ、無理にかかなくてもいいんじゃないかな。
僕も昔は書いてたけど、時雨のTKって人に出会ってからは一切する気がおきない(一同笑)
才能ないのに書いたところでなにも起こらないもん(笑)。またいつか書きたくなったら自然と書くようになるのかもしれないし、どうしても作らなきゃいけないってものではないです。」

>セミナーやクリニックに関しての言及

ピエール中野:「いろんな人のドラムセミナーやクリニックにいくと、同じプロドラマーなのにそれぞれ言ってることが違ったりするんだけど、それはどうして違うのかっていうと、人それぞれに正解があって、どれも合ってる。結局は自分に合ってるほうを選べばいい。
そういった正解の選択肢を増やす役割を果たしたいと思って、今日僕は来ています。先ずはそういったことを念頭において受講してほしい。」

受講生の質問:ライブで自分達の演奏がどのように聞こえているのか気になります。ちゃんと各楽器がバランス良く聞こえているのか?などです。とくにドラマーは客席に降りて自分の音を耳で確認することができません。どうすれば客席の音がわかるようになるのでしょうか?経験をつめばなんとなく分かるようになるのでしょうか?

ピエール中野:「一番効率がいいと思うのは『外音と同じバランスで返して下さい』っていうことかな。逆に一番効率が悪いのが、今何が返ってますか?ってやり方。そうやって『じゃあ次は~』とかPAに聞いていくと、やりとりばかり増えるし自分もPAもお互い何を求めてるのか見えてこないから。
まずは、中音として自分が求めている音を決める。僕の場合は、全体の音が聞きたいから、ドラムだけ抜いて他を外音と同じバランスで返してもらう。200~300のキャパのライブハウスの場合は、だけどね。
そういう風に決めておくと、時間も短縮できて、PA側もやりやすいし。そういうやり方をお勧めします。意外にそういうのやっている人いないんだよね。」

司会:「まさに目から鱗です。」

受講生の質問:ライブ本番、演奏で緊張してしまいます。

ピエール中野:「普段の練習から緊張しておくことかな。あたりまえだけど、プロミュージシャンも緊張するんだよ。緊張するんだけど、プレイが始まった瞬間には演奏に集中するから、そこで緊張はなくなっていく。
普段の練習から人に見られてる、を意識してプレイすることかな。それで集中できるようにイメージして、自分がプレイをした瞬間に集中できるように練習を重ねるのが解決策だと思う。」


あっという間の質問コーナーの終わりを迎え、ラストに一曲「nakano kill you」を受講生にお見舞いし(敢えてこの表現にする)会場を圧倒したままイベントの本編は終了した。

終了後はお馴染みの記念撮影のコーナーへ。

本日のスペシャル夏期講習を共に受けた受講者全員で、ピエール中野氏との記念撮影をおこなった。
帰り際も、会場から退出する受講生ひとりひとりに、しっかりと自身のシグネイチャースティックを手渡して見送る。

本イベントを通して筆者が感じたのは、凄腕と称されるテクニック以上に、ピエール中野氏本人がドラムひいては音楽に向き合う姿勢やそのストイックさ。

常に自身の可能性にチャレンジし続けてきたからこその、「経験に裏付けされた言葉」はなによりも価値があるものだと思う。

ピエール中野という一人のアーティストの有り方を、ドラムというツールを通して限られた時間・内容ではあるが、あの空間にいた受講生は皆感じる事ができたのではないだろうか。

バンド上達塾は、これからも一人のアーティストの音楽に対する解釈、歩みによって導きだした答えを紐解き、これからのシーンを作っていくバンドマン達の音楽ライフのスパイスになるイベントを作っていきたいと思う。

バンド上達塾WEBページ

http://www.bassontop.co.jp/band-jyuku

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